2017年11月3日金曜日

『一人萬来』〜歩き打ち














『一人萬来』〜歩き打ち

 
 
12年前、歩くことは道楽だ、と名付けた。
その始まりは、2005年7月台湾歩き太鼓の旅からだ。

 
その後淡路島一周、四国八十八ヶ寺歩き遍路、そして浜から島への旅。
 
去年、
『横浜から淡路島まで、歩き打ち』と、
この企画のタイトルを付けた時、
「トミダさん、太鼓を打ちながら歩くんですか?」
と何人かにたずねられた。
「イヤ太鼓を叩くのは、一番始まりとゴールのお寺でだけで、後は叩きませんよ」
と答えていた。
どうも歯切れの良くない、気まずい返答に思えた。
 
他にも、
「お四国では、寺から寺へ歩くことを打つというんです」
「中国語で打は、何かをするという動詞に使われるんです。つまり英語のdoと同じような‥‥」
などとも答えていた。
それでもどこか、まだ自分でも納得できていないところがあったと思う。
だから考えていた。
 
今年に入って或る日、
いつものようにこれから歩きに出ようとしていた朝、
太極拳をやっているカミさんから、
体の最良バランスを保つ時の足の親指についての話を聞く。
 
親指を意識したら良いことぐらいは昔から知っている事だったが、
その日の朝、改めて意識をして歩いてみた。
 
カカトを地面につけて、親指を意識して、地面を蹴る。
カカトを地面につけて、親指を意識して、地面を蹴る。
 
それを繰り返していた時、
 
アレ? これって、太鼓を叩いているようだなと、
 
そうか、これは、
 
地球という太鼓を二本の足(バチ)で打ち続けているんだ!
と気が付いた。
 
その時、これが歩き打ちなんだと、す〜とこの言葉が体に溶け込んだ。
 
僕がこれまで歩いてきたことと、太鼓打ちとが繋がった瞬間だった。
 
これが「歩き打ち」なんだと。
 
 
 
 
40周年記念公演の始まりに、これを舞台で表現したかった。
歩いていると、それが太鼓の音になって、それが太鼓の曲になる、という。
これがプロローグだ。
 
歩きながら太鼓を叩くのは、担ぎ桶スタイルが一番合っている。
イヤ、これしかない。
そして叩く曲は、『萬来』しかない。
 
この曲のテーマは、鼓童時代の1985年に作った『縦横無尽』のテーマだ。
そのテーマを活かして、三拍子のイントロを付けたり、エンディングを変えたりしたものが、
千客萬來の萬来だ。
 
初演は1997年、佐藤健作と二人だけで叩いた。
その後、東京打撃団で定番になる(当時)。
 
あれから20年!
 
 
それを一人で叩いた?
そういうことにしておいて下さい。
僕が叩く音と違う音も聞こえたかもしれませんが、
 
それは、僕が歩いた地球からの返答でした。































 
 
 
2017年10月15日、富田和明太鼓芸能生活40周年記念公演『太鼓打ち誕生』
東京亀戸文化センター・カメリアホールにて
撮影/青柳 健二
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富田和明的担ぎ桶太鼓教室
太鼓アイランド目黒『桶秋刀魚』
http://www.tomida-net.com/taikoa131.html
明後日・11月5日(日)9:30-12:00 上目黒住区センター
興味のある方は、ご連絡下さい。
utigumi@tomida-net.com
 
 
40周年記念公演の青柳健二撮影写真を投稿してきたこのシリーズ、
本日で終了します。
ありがとうございました。

興味を持たれたからは、こちらのページでまとめてご覧になれます。
http://uchigumi.blogspot.jp/search/label/40周年記念公演